コラム
COLUMN女性の無呼吸は珍しい?
以前のコラム(どんな人に無呼吸症は多い?)で、男性の方が多い病気と書きましたが、女性の場合はどうでしょうか。
統計調査の結果では、20代の年代に絞ると無呼吸がある女性の比率は男性の10分の1程度です。かなり男女で偏りがあるのが分かります。
若い女性で無呼吸を起こすパターンは男性と共通しており、以前のコラムに書いていますので、そちらを参考にしてください。
では女性はそのまま無呼吸が少ないのかというと、更年期の頃から有病率が増えていき、70歳頃に男女比が1:1になります。
その原因と言われているのが、プロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンです。このホルモンは脳の呼吸中枢を刺激して、呼吸をうながす作用があるため、無呼吸を起こしにくくしていると言われています。閉経前後からこのホルモンが減少するため、無呼吸が増えていくと推定されています。
女性の場合、もう一つ気をつけなくてはいけないのが、妊娠による影響です。
妊娠による体重増加やむくみは気道を狭くするため、無呼吸症のリスクを引き上げ、症状の悪化につながります。さらに、妊娠中の母親に無呼吸があると、母親だけでなく胎児も酸素不足の影響にさらされるため、流産、切迫早産、発達障害児出産の原因になったと報告されています。
スウェーデンで行われた500人程度の研究では、習慣的にいびきをかいている妊婦が妊娠高血圧・妊娠中毒症を起こすリスクが2倍程度、子宮内で胎児が発育不全を起こすリスクが3.5倍程度と上昇しており、いびきは喫煙と同様なリスクになると言われております。
不妊治療をしている夫婦で、奥さんがいびきをかいている様でしたら、一度検査をしたほうがいいです。無呼吸症は本人が気づかない場合も多いので、旦那さんからぜひ教えてあげてください。その際けんかにならない様に気をつけてくださいね。
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渋谷睡眠・呼吸メディカルクリニック
楠 裕司