コラム
COLUMNCPAPご使用、またはご検討中の皆さまへ
こんにちは。
渋谷睡眠・呼吸メディカルクリニックの看護師長今井です。
今回はCPAPの使用方法やメンテナンス、使用中の疑問点やトラブルなど、みなさまからよくいただく内容についてお知らせさせて頂きます。
導入後間もない方やこれから導入予定の方は疑問点の解消のため、ベテランの方で大丈夫と思っている方も復習として、ぜひこちらを参考にして頂けると幸いです。
≪今回の流れ≫
- ご使用方法について
- メンテナンスについて
- 副作用について
- CPAPあるある
1.ご使用方法について
CPAPの製造メーカーは複数あるため、メーカーによって違いはあります。しかし、どの機械も医療機器ですので医師の指示に基づき処方され、機器のモード設定が行われております。基本設定はご本人には変更できなくなっております。患者様に触って頂くボタンとしては、大まかにはスタート/ストップ ボタンと加湿調整ボタンが主になるかと思います。
診察時に確認するご使用データは、以前はSDカード等を診察の度に病院へ持ち込んで頂いていたかと思います。現在は本体に内蔵されたモデムやスマホアプリによってメーカーのサーバーにデータが送られるため、当院通院中の患者様に関しましては、設定変更の際以外では、カードの持ち込みはしていただく必要はございません。当日カードを忘れても問題ありませんのでご安心ください。
使用状況の目標として、当院では
使用時間 5時間以上/回
使用割合 80%以上
を目指しております。
導入から日が浅い患者様は、いきなりこの目標は達成できない方が多いです。しかし、使用に慣れてくると多くの方はできるようになってきます。目標が達成できない方は、まずは短時間でも毎日決まった時間につけることを優先に頑張ってみてください。1時間でもいいのでCPAPを装着して寝ることを第一目標にして、1週間ずつクリアしていくと、少しずつ装着時間も長くなっていきます。もし続かない、CPAPが合わないなどのお悩みがあれば、何か原因があることが多いですので遠慮なくご相談ください。装着できない自分を責める前に、どうやったら装着できるかを一緒に考えましょう。また機械がご自身のライフスタイルに合わなかったり、マスクが合わなかったりと不快感が装着の妨げになっていることもありますので、初期のお悩みは早いうちに解決致しましょう。長期ご使用の患者様は、徐々に我慢していたことが慢性化しあまり気にしなくなってしまった、いつの間にか自己判断し相談するまでのことじゃなくなった、困っていないけどこんなことがあった、ということが良くあります。日常生活においての細かいことから大きいことまで、あまりCPAPと関係ないことと思っていても意外に関係のあることだったりするのでどんどん患者様の声をきかせてください。
皆様からのお話が、これからCPAP導入してすぐの人、導入を考えている人、もしくは受診を迷っているひとなどの背中を押すきっかけになることもあります。
2.メンテナンスについて
・使用後の洗浄で困っていませんか?
なんでもかんでもアルコール消毒していませんか?
各メーカーによって違いがありますが、CPAP本体、マスクにシリコンが使用されている場合が多いです。シリコンはアルコールに触れると固くなってしまいます。もし、部品等が固くなってきた場合は、当院もしくはメーカーにお問い合わせください(CPAP本体に貼ってあるシールに連絡先記載されています)。説明書通りに洗浄していただくと破損や劣化を防ぐことができます。水洗いや食器用中性洗剤を入れたお水の中でサッと洗って、皮脂汚れやホース中の汚れなどを洗浄していただき、風通しの良いところでの陰干しをするのがお勧めです。
(ホース内の水滴が気になる場合は、いったん本体に接続してしばらく風を送ってあげると、水分が飛びます)
毎日清潔な空気をたくさん吸って眠ってください。
・フィルター汚れていませんか?
本体の裏側にあるフィルターって見ていますか?
ちょっと見てもらってもいいですか?
お部屋の汚れやペットの有無にもよりますが、空気清浄機と同じでフィルターは汚れます。
使用環境にもよりますが大体3か月~6か月ごとの交換が目安と言われています。適宜確認してみてください。
フィルターが汚れていると、吸い込んでいる空気が汚れたり、目詰まりを起こす原因になります。「あ、汚れてきたな」と思ったら交換してください。
本体だけではなく、呼気ポート部分にフィルターがついているマスクもあります。フィルターはあくまでも付属品ですが、これも清潔なものをご使用ください。こちらのフィルターは水洗い可能ですが、完全に乾かしてご使用ください。濡れていると吐いた息が抜けにくくなって、違和感や苦しさの原因になります。新しいものと交互にご使用頂けると効率的かもしれませんね。
・マスクの劣化などは大丈夫?
「シリコン部分に亀裂が入っている」、「プラスチックの部分が割れた」、「愛犬がマスクをぼろぼろにしてしまった」などのお問い合わせは多いです。破損はCPAPが適正に作動をしない原因になります。そのせいで患者様には装着後の違和感や不快感を与えてしまうことになります。劣化や破損が起こった場合は、遠慮せずに早めに対応をお願い致します。
・CPAP本体の不具合はありませんか?
変な音が出る、画面が映らない、加湿がかからない、温風機能がイマイチ・・・など、緊急時は直接メーカーにお問い合わせ頂くほうが早いですが、困ったら当院にはプロフェッショナル(日本睡眠学会認定の臨床検査技師)がおりますので、遠慮なくお問い合わせください。
3.副作用について
CPAP療法は副作用がほぼない治療です。しかし、設定がご自身に合っていなかったり、破損や劣化のため適正な作動が出来ていなかったり、マスクフィッティングがうまく出来ていなかったりしてしまっていると、体に不調が出てくる場合があります。
下記の症状が起こってきた時は当院までご連絡下さい。
・おなかの張り
・耳鳴り
・目の充血
・マスク接触部分の肌荒れ
4.CPAPあるある・・・
『治療中に鼻やのどが乾燥するんだけど・・・』
乾燥の季節によく聞く症状です。室内の加湿や機械の加湿で改善する場合があります。お使いの機器によっては加湿機器が付属されていないものもあります。加湿が必要になった場合や使用の相談、機械の加湿調整方法がわからない方などの場合はご連絡ください。のどの渇きは口が空いている場合もあるので、口腔テープを使ってみるのも手です。
『マスクやチューブ内が結露してホース内に水滴がすぐたまる』
チューブ内の温度と外気の温度の差で結露が起こります。そのため室温の調整が一番確実な対処になります(室内温度を上げる)。ホース内の水滴はホースを機器から外して捨てて頂いて構いません。
『以前と比べてCPAPの効果を実感できない・・・』
診察時のデータで無呼吸のコントロールはついていますか?
AHI(無呼吸指数)が下がっていても眠たい場合は、無呼吸以外の原因で睡眠が悪い可能性があります。診察時にご相談ください。またしっかりできている方の中には無呼吸がない状態が普通になったため効果を感じない場合もあるんですよ。
『出張に行くのだが、持って行った方がいいか』
何日以上の出張から持って行った方がいいかは議論がありますが、当院では2泊以上の出張には持っていくことを勧めております。機械が大きくて持ち運びが難しい場合は、軽量の小型のCPAPもご用意がありますので、ご相談ください。
『手術入院になるが、持って行った方がいいか』
無呼吸の酸素低下は手術の傷の治りを悪化させるため、基本的には持参する事をお勧めしております。ただ、手術内容やコロナの状況などで使用できない場合もありますので、入院先の先生とも相談してみてください。
そのほか、上記にはない質問や疑問にお答えさせて頂きますので、遠慮なくご相談ください。
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